よくある質問 Q&A

インバータについて

1:単相電源入力用のインバータで単相モータは運転できますか?
東芝製インバータは、3相誘導電動機駆動用インバータです。
単相電源入力のインバータの出力は、3相出力となっておりますので、単相モータの駆動はできません。また、インバータで単相モータを駆動すると、始動用の遠心力スイッチやコンデンサの破損・焼損の恐れがあります。

2:モータの負荷以外の用途に使用できますか?
東芝製産業用インバータは、3相誘導電動機の負荷以外にはご利用になれません。

3:リアクトル、ノイズフィルタの設置は必要?
東芝製インバータは画期的な新技術により、いままで必要であった直流リアクトルを不要にすることが出来ました。
ただし特大容量の場合のみは、直流リアクトル(DLC)を設置します。
また、リアクトルの取り付けは、力率改善、外来サージ抑制(入力リアクトルのみ)、高調波成分の低減効果があり、それぞれの目的に合わせて設置します。
ノイズフィルタについては、インバータの入力系統に近接した、測定器等がある場合には、誤動作を避けるために設置を推奨します。

4:インバータの使用温度範囲は?
機種や容量によりますが、−10℃〜+50℃となっています。
ただし、一部機種ではインバータ上部の温度注意ラベルを剥がすことが必要です。

5:インバータをパソコンと接続するのに必要なオプションは?
インバータとパソコン間の通信をRS232Cで行うためには、次のオプションが必要となります。

(1) VF-AS1,VF-PS1,VF-FS1
・USB-シリアル通信変換ユニット(USB001Z)
・パソコン側ケーブル:市販のUSBケーブル
・インバータ側ケーブル:CAB0011,CAB0013,CAB0015
(2) VF-S11,VF-nC1
(共通オプションが使用できる機種)
・RS232C変換回路内蔵ケーブル:RS20035
または、
・RS232C変換ユニット:RS2001Z
・パソコン側ケーブル:CAB0025
・インバータ側ケーブル:CAB0011,CAB0013,CAB0015
が必要になります。



6:インバータを水平設置可能ですか?
製品保証は垂直に取り付けた状態になります。このため、保証はできません。

7:1台のノーヒューズ遮断器に、インバータを複数台接続するには?
基本的には1対1の接続が推奨です。複数台接続する場合は、インバータの定格出力電流合計の200%程度で選定して下さい。
但し複数台接続した場合は、インバータの1台が破損すると短絡電流により遮断器が動作し、システムダウンしてしまう危険性を伴います。

8:1台のインバータに複数台のモータを接続する時は、どういう点に注意すればよいのですか?
基本的には、モータ1台に付き、インバータ1台を使用して下さい。
各モータの負荷電流の合計値の1.1倍がインバータの定格電流以下になるような選定をして下さい。
また、各モータには過負荷継電器(サーマルリレー)を接続して、モータ保護を行う必要があります。

補足説明:
モータ負荷電流合計(A)×1.1≦インバータ定格電流(A)
一般的には、1台のインバータで複数台のモータを運転する場合には、V/F一定(定トルク特性)モードをご使用下さい。
但し、同一モータ仕様の並列運転で、一つの軸を駆動する場合、もしくは、ギアなど結合が硬い機械では、一部の機種でセンサレスベクトル制御が使用できます。

9:複数台を盤に収納する時の注意事項は?
2台以上のインバータを1つの盤内に収納する場合は、次のことに注意して下さい。

・左右のインバータの間を10cm以上離して設置して下さい。
・上下のインバータの間を20cm以上離して設置して下さい。
・下側のインバータの発熱で、上側のインバータがあおられないように風切り板などを設けて下さい。


10:落雷のインバータへの影響は?
落雷により、雷サージが発生し、次の経路よりインバータに進入する可能性があります。

(1) 主回路電源系統
・雷サージが大きい場合、最悪インバータ内部の整流回路等が破損します。
→電源にサージキラーを取り付けて下さい。
(2) 制御配線への誘導ノイズ
・制御配線には、直接雷サージが進入する可能性は低くなりますが、誘導ノイズとして印加される可能性があり、特に入力端子の終端抵抗破損等が考えられます。
(3) 通信ケーブルへの誘導ノイズ
・制御配線と同様に、誘導ノイズによって通信回路破損等が考えられます。
また、回路破損に至らないノイズでは、ほとんどの場合通信エラーが発生します。

11:インバータで防爆モータを駆動する時は、どういう点に注意すればよいのですか?
防爆モータは、防爆検定で組み合わせたインバータと同じ形式のインバータで駆動して下さい。また、モータのV/F特性に関するパラメータは、モータの温度上昇に関わるので、必ず検定時の設定と同じにして下さい。
12:防爆モータ(既設)にインバータを組合せる場合、防爆検定を再受検する必要がありますか?
防爆検定の再受検が必要になります。
補足説明:
防爆モータをインバータ駆動する場合、インバータの基本パラメータ(出力電圧に関するもの)は防爆検定で設定したパラメータから変更することはできません。

高調波について

13:高調波とは?
電力会社から供給される商用電源の周波数(50Hz/60Hz)を基本周波数と言います。高調波とは基本周波に対して整数倍で、2次〜50次までのものを指しています。電力会社から送られてくる電気にはほとんどこれら高調波は含まれていません。汎用インバータなどのコンデンサ入力型整流回路を利用した平滑回路がある場合、交流から安定した直流を作り出すためにコンデンサで充放電を繰り返し行い、必然的に多くの高調波が発生します。その際、入力電流波形の基本波に高調波が加わりひずみ波となります。


基本波電流(50Hz/60Hz) 高調波電流 ひずみ波電流
(基本周波数の整数倍の周波数)

14:ノイズと高調波の違いとは?
  ノイズ 高調波
周波数帯 数10KHz以上(高調波) 〜数KHz(40〜50次)
伝達経路 電路・空間・誘導 電路
発生量 スイッチング周波数 電流容量
影 響 センサー類の誤動作・誤検出
ラジオの雑音
機器への異音・振動・焼損・誤動作など
主な対策 ノイズフィルタの設置
配線経路の見直し・変更
絶縁の強化、等
ACまたはDCリアクトルの設置
高調波抑制ユニット、等

15:高調波抑制ガイドラインとは?
インバータなどの高調波発生機器からの高調波電流が電源側や同一電力系統に接続されている他機器への影響を与えるため、平成6年9月に通商産業省(現:経済産業省)資源エネルギー庁から、高調波抑制ガイドラインが制定されました。インバータは全容量機種が「高圧又は特別高圧で受電する需要家の高調波抑制対策ガイドライン」の適用対象機器です。

「高圧又は特別高圧で受電する需要家の高調波抑制対策ガイドライン」の概要
高圧又は特別高圧で受電する需要家において、高調波発生機器を新設、増設又は更新する際にその需要家から流出する高調波電流の上限値を規定したものです。
高調波発生機器がこのガイドラインで定めている等価容量の限度値や高調波流出電流の上限値を超える場合は、上限値を超えない対策を施す事が必要になります。

16:インバータ高調波抑制指針とは?
ガイドラインに該当しない需要家に対して、社団法人日本電機工業会では、総合的な高調波抑制を啓発していくとの見地から、入力電圧が100Vクラスまたは200Vクラスで、かつ入力電流20A以下のインバータについて高調波電流に対する指針を設けています。この指針に対応するために入力リアクトルまたは直流リアクトルを設置することを推奨しています。
本高調波制御指針は下記の容量が該当します。

・単相100Vクラス 0.75kw以下
・単相200Vクラス 2.2kw以下
・三相200Vクラス 3.7kw以下
17:高調波抑制対策の種類は?
種類 対策内容
リアクトルの設置 インバータの入力側に入力リアクトル(ACL)または、インバータの直流部に直流リアクトル(DCL)を接続することにより、高調波流出電流を抑制することができます。
高調波抑制
ユニット(SC7)
の設置
入力電流を正弦波に近くなるように制御するPWMコンバータです。高調波抑制ユニット(SC7)をインバータと組み合わせて使用することにより、電源側の高調波流出電流を抑制することができます。
高調波抑制
ユニット(SB3)
の設置
入力電流を正弦波に近くなるように制御する正弦波PWMコンバータです。高調波抑制ユニット(SB3)をインバータと組み合わせて使用することにより、電源側の高調波流出電流を抑制し、回生時は電源側に回生エネルギーを返還しますので、省エネになります。
高調波抑制進相
コンデンサ設備
進相コンデンサと直列リアクトルの組合せによる進相コンデンサ設備を設置することにより、高調波電流を吸収する効果があります。
その他 受動(交流フィルタ)・能動フィルタ(アクティブフィルタ)などを使用して高調波を抑制する方法があります。


インバータによるノイズについて

18:インバータのノイズ発生原因とは?
インバータでは、まず入力された交流電圧をコンバータ部で直流電圧に変換します。次に内部のトランジスタで高速スイッチング(オン・オフ)によるPWM制御を行い、モータを可変するために必要な交流の電圧、周波数を出力して制御します。上記のなかで行われているトランジスタの高速スイッチングの際に、ノイズが発生します。

19:ノイズが機器に与える影響とは?
インバータから発生するノイズはいろいろな機器に影響を及ぼしますが、ノイズフィルタの設置やアースの処理で効果的に抑えることが可能になります。
主だった機器への影響とその対策は下記の通りです。

(1) AMラジオへの影響
インバータを動作させると近くのAMラジオに雑音が入る場合があります。
*FMラジオ・テレビにはほとんど影響を与えません。
対策:電源側にノイズフィルタを設置するのが効果的です。
(2) 電話への影響
インバータ及びモータから出る高調波漏れ電流が、電話ケーブルのシールド線(アース)に入り込み、雑音が発生する場合があります。
対策:モータのアース端子をインバータのアース端子に戻すと効果的です。
(3) 圧力センサー等への影響
アースを介してノイズか信号ラインに侵入し誤動作をする場合があります。
対策: アース処理の変更や電源側にノイズフィルタを設置すると効果的です。
(4) 位置検出器(パルスエンコーダ)への影響
誤パルスで位置ズレが発生する場合かあります。モータ動力線(強電)とエンコーダ信号線(弱電)が一緒に束ねられている場合に多く発生します。
対策:動力線とエンコーダ信号線を分離するのと、インバータの入力側、出力側にノイズフィルタを設置すると効果的です。

20:ノイズフィルタの種類は?
ノイズフィルタには入力側に取り付けるものと出力側に取り付けるものがあり、各々の役割は下記の通りです。

(1) 入力側ノイズフィルタ
役割:   インバータ入力電源系統に回り込んだノイズや、配線から出るノイズを低減させます。
設置場所:なるべくインバータの近くに取り付けて下さい。
(2) 出力ノイズフィルタ
役割:   インバータから出るノイズを低減させます。
設置場所:入力側同様になるべくインバータの近くに取り付けて下さい。

21:ノイズフィルタの設置位置は?
ノイズフィルタの効果を発揮するために、下図のように設置・配線して下さい。

補足説明:
制御電源,主回路電源が別の場合には、異なるノイズフィルタ(主回路電源用,制御電源用)を使用することで、図1の配線で使用することも可能です。